東洋医学専門の鍼灸師が語る【鍼灸業界の現状と課題】
東洋はり灸整骨院の石丸です。
ある鍼灸業界の本によると、鍼灸を経験したことがある患者さんは約30%だそうです。
10人に3人ぐらいは何かしらの鍼灸経験があるということです。
内科や歯医者に行ったことがある人はおそらく100%でしょう。
それと比べるとやはり少ないですね。
鍼灸院が、内科や歯医者さんのように皆様が来てくれるところではないということが分かります。
さらに、継続的に鍼灸を受ける患者さんは約2%と言われており、30%の人が鍼灸を一度体験したとしても、ほとんどの人は脱落してしまうということなのです。
鍼灸院に身を置いている私としては何とも歯がゆい気持ちになってしまいます。
そこで本日は、「鍼灸業界の現状と課題」について、お話をしたいと思います。
鍼灸業界の現状
鍼灸業界の現状として、そもそも鍼灸の免許を取得して鍼灸のみで生計を立てている鍼灸師は「約2%」しかいません。
その他の98%の人は、マッサージ・整体・カイロプラクティックなど鍼灸以外の治療も併用して治療をしています。
例えば、医師免許を取って医師業だけに従事している人は100%でしょう。
恐らく、歯科医師も同じですね。
そう考えると鍼灸だけで生計を立てることがいかに難しいかがわかります。
冒頭でも言いましたが、継続的に鍼灸を受ける患者さんの割合と鍼灸のみで生計を立てている鍼灸師の割合はそれぞれ「2%」と一致しています。
これは、症状を治すことができる本物の鍼灸師のところに来た患者さんだけが残るということです。
裏を返せば、2回目は行きたくない、価値を感じないと思ってしまった鍼灸院が多いということが分かります。
鍼灸師の課題
病院やその他の治療院に行ったけれど治らなかったという患者さんを治せるようにならないと鍼灸師ではやっていけません。
何か症状がある場合、ほとんどの人はまず病院に行きます。病院で治らなかった人がカイロプラクティックや整体などの治療を受けます。
鍼灸はやはり痛い、感染が怖いといったマイナスのイメージが大きいので、治療を受けるには敷居が高いのでしょうね。
病院でも他の治療でも治らず、痛みや恐怖より今抱えている症状の負担の方が大きい人だけが鍼灸を選ぶのです。最後の手段というわけです。
こういった人を治すことが、継続的な意思を持って通院してくれる患者さんにつながります。
病院などで治らなかった症状を治すことで、信頼していただけますし、その次からは何かあるとまず鍼灸に来ていただけます。
「あの先生のところなら治してもらえる」と思ってもらうためには、鍼灸師としての治療法をしっかりと勉強し、技術を修得するしかありません。
鍼灸師それぞれの課題になりますが、その積み重ねで鍼灸業界への評判が上がっていくのです。
鍼灸業界の実力と信頼
鍼灸を経験したことがある患者さんがせっかく30%もいるのに、現状ではその内のほとんどの人が鍼灸に見切りをつけてしまっています。
鍼灸のみで生計を立てている2%の鍼灸師だけが治療をしていても、残りの人の向上がなければ鍼灸業界は衰退していくかもしれません。
2%の鍼灸師が3%、4%と増えていけば、鍼灸業界の実力や信頼もつき、鍼灸師が鍼灸師として生計を立てられるようになるのではないでしょうか。
私も鍼灸のみで生計を立てている鍼灸師の一人として、鍼灸業界全体が盛り上がることを祈っております。
鍼灸業界について 解説動画
本記事について、私がYoutubeにてお話させていただいた動画もございます。ぜひご覧ください。
まとめ
いかがでしたか?
本日は、私自身が身を置いている「鍼灸業界の現状と課題」について、日頃から考えていることをお話しさせていただきました。
2017年現在、国の医療費は41兆円です。
50〜60年前と比べて190倍に増えています。
患者さんが医療産業の餌食になることのないよう、鍼灸の力を持ってしっかり治療し、病院に行かなくて済むような体づくりをサポートすることが、社会保障費を下げることにもつながると考えています。
本当に患者さんを治せる人だけが、治療家や病院の医者と名乗ることができる世の中になると良いですね。
そして、東洋はり灸整骨院が患者様の悩みを解決する治療院であり続けられるように、これからも日々精進したいと思っています。
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